大切な人…


ユウくんがそう言うとなぜこんなに苦しいんだろう。

女好きのくせに、そんなキザなこと言うのがおかしいから?
昔の思い出に浸ってるのがイタいから?


…〝あの日〟の記憶もユウくんも、綺麗さっぱり消えてくれたらいいのに。


その日は結局上の空で授業を受けて
家に帰ると、珍しくママがいた。

今日は一人でいたい。

ママ、どこか用事できないかな?

あ、そうだ。

「…ママ、そういえばね。隣の転校生のお母さんもお花が好きなんだって!ご挨拶、行ってみたら?」
「うふふ。知ってるよ。さっちゃんは20年来の親友だもん。ざんねーん!」
「…へ?あ、そう。」
「ユウくんとお話したの?わー!すごい進歩!あともうちょっとよ!がんばって!」

…何か言ってるけど無視して外へ飛び出してしまった。