次の日の放課後。
今日は、珍しくヒナに呼ばれてラウンジにいる。

「ヒナ、なにか話したいことがあるの?」
「あのね…。」
「…うん。」
「私ね、狭山くんに告白したの。」
「え!」
「あのね、私の初恋だからね、すっごい緊張したんだけどね、やっぱり狭山くん優しいから、OKしてくれたの。あのね、これ誰にも言ってないけどカコには言っておこうと思って。」
「へぇ。良かったね。」
「…良かった。」
「うんうん。」
「カコがいつも通りの反応で。」
「え?」
「カコの反応が嘘だったら危ないって思ったけど、いつも通りのだから、私変なことしてないよね。」
「わたしの反応が基準?…まぁ、ヒナが幸せそうだからいいや。」
「あの…」
「分かってる。他の人には言わないよ。そんな趣味ないしね。」
「だよね。良かった。…と、いうことでカコさんも早いところ篠原くんをゲットしてください。」
「何それ。なんでユウくんなの。」
ヒナが、いつものモードに戻った。
「最悪篠原くんじゃなくてもいいけど、正直、狭山くんと同じレベルじゃないとなぁ、ダブルデートするんだから。」
「…ヒナ、まだその夢諦めてなかったの。」
「あったりまえじゃん!」
「早いところ諦めつけてね。」
「嫌だ!」
「そう言われても…」

…好きな人なんて一生できない気がするよ。
寂しくなるだけだもん。

「カコ、早く誰かのものになんないともったいないじゃん。それに、それこそまだ諦めきれてない男子どもが可哀想だし。チャンスあるとか勘違いする野郎がまだたくさんいるもん。」
「もう。…それ何回目?」
「何回言っても分かんないのはどっちよ。」
「私のことはいいから、ヒナ、頑張ってね。狭山くん、忙しそうだし。」
「うふふ。うん。」

確かに、幸せそう。

好きな人ができると、女の子は可愛くなる。
とかよく言うけど、ヒナの場合はそれがすごく当てはまってるね。

でも私には無理。
寂しくなる気がするから。
…何でだろうね。そんな風になった思い出なんてないのに。