めちゃくちゃに抱くと宣言したくせに、ゆっくりと時間をかけて私を抱いてる男に焦らされ過ぎて、イケない苦しさに涙が溢れる。
これが、あなたの言うめちゃくちゃに抱くと言うことなの⁈
幾つもの波が来ても引き戻される。
その度に
『俺を好きだと言え』
せつない声で耳元で囁く。
罪な人
私を好きだと愛してると言わないくせに求める言葉は残酷。
好きなのに
愛してるのに
私だけの男にならないあなたに伝えても虚しくなるだけで……
意識を手放すまで言葉の代わりに何度も唇にキスをする。
目が覚めると隣で真斗が眠る。
朝日が、カーテンの裾から差し込みほんのりと室内を照らす。
「真斗…起きて。仕事行くんでしょう」
「……あぁ」
体を起こし、半分寝ぼけた顔で服を着だした。その間に、簡単に朝食を作る。
別れがくる前に少しでも恋人気分を味わいたいから……
「食べてくよね」
「あぁ…サンキュー」
テーブルに2人分の朝食。
トーストにサラダ
目玉焼きとコーヒー
「あの女…もう何もないと思うけど…何かあったら言えよ」
「うん…」
お互い気まづいのか、話が続かない。
視線が合っても…言葉はない。



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