あなたに恋してる


「……」

「先輩のそんな顔が見れてよかったですよ。……それじゃ、俺はお邪魔みたいなんで失礼します」

ぺこりと頭を下げ帰えろうとしたのに、思い出したように振り向いた。

「先輩…これで貸借りなしですよ」

「あぁ…これで帳消しだ。お前が間に合ってくれて助かったよ」

「……先輩のためじゃないですよ。前園さんのためですから…彼女の誤解を解いてあげてくださいよ」

背を向けると手を頭の上で振り帰っていった。

「美雨…帰るぞ」

肩を抱いた手に力が入り、一緒に歩みを進めた。


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101ビルから近い私の部屋に真斗といる。

何から聞いていいのかわからず、テーブルを挟んで向かい合い床に座った。

「……杉本さんのことはびっくりした」

「……」

「いつからの知り合いだったの?」

「……今から一カ月ほど前かな⁈賢吾に呼び出されて行ってみたらお前の同僚との合コンだった」

「あっ…」

「相変わらず、爪弾きにされてお前はそこにはいない。だから、すぐにお前のとこに行くつもりだった…それなのに、賢吾の奴…お前がいないからって呑み潰れてあの女を俺に押し付けて相手をさせられたんだ」