「やめろ…」
彼女の腕を掴み、とめてくれたのは田近さんだった。
「杉本さん、君に先輩を会わせるべきじゃなかった。振り向いてもらえないからって前園さんに八つ当たりするのは間違っている」
「どうして…田近さんまで。今朝だって成宮さん…前園さんに何かしたらただじゃおかないって恐い顔をして私に怒鳴ったの……なんでその子なのよ」
わぁーんと大粒の涙を流して叫んでる。
真斗が⁈
何も知らないはずなのにそんなことを言ってくれてたなんて嬉しくて真斗に会いたくなる。
「君のしていることはストーカーだよ。
会社で待ち伏せたり、先輩の後をつけて家まで押しかけたり…それだけじゃない。彼女を傷つけて…君は自分が何をしているのかわかってる⁈」
「……どうして庇うの。色目を使って彼を誘惑して、結婚する恋人がいるなんて嘘ついて、彼を諦めさせようとする卑怯な女なのに…私がこの子に負けるの…」
「嘘なんて『杉本さん、いい機会だから言っておく…君は何を勘違いしてるのか知らないが俺は君に興味なんてない。勘違いするな」』
今、会いたいと思っていた愛しい男がどこから現れたのかわからないが、私の肩を抱き杉本さんに冷酷な言葉を浴びせていた。



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