12時を過ぎてもベッドの中で指を絡め私を抱きしめる男は、いつまでも出て行こうとしない。
「……ねぇ、明日仕事でしょう⁈帰らなくていいの⁈」
「……そんなに帰ってほしいのか⁈」
怒りを含んだ言葉に焦る。
「そうじゃなくて…着替えもないし(彼女が来るかも)泊まったら明日どうするの⁈」
「そんなことか…朝、着替えに戻ればいい」
少し、機嫌の良くなった男はぎゅっと私を抱きしめる。
「……いいの⁈(彼女が待ってるかもしれないよ)」
「あぁ……俺が勝手にしてることだから気にするな」
「……」
単純な私は、その言葉だけで嬉しくなって口元が緩んでしまう。
「もう、寝るぞ」
私をぎゅっと抱きしめたまま男は深い眠りの中に入っていった。
いつまで続くかわからないけど…
この幸せを手放したくないと思うのはワガママですか⁈
肌を重ねれば重ねるほど、この温もりを誰にも渡したくないと思うのはいけない
ことですか⁈
眠る真斗の首筋に赤い痕をつける。
真斗の見えない彼女に私という女がいるという印。
あなたの男は、あなた以外の女を抱いたと教えてあげる。
真斗は、この痕を見てどう思うかしら⁈



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