あなたに恋してる


「……」

『診療時間よ』

診療時間に助けられその場から解放されホッとするも、彼女は何か言いた気に私を見てくる。

お昼に入り、いつも以上に2人きりになるのは避けたくて私はお弁当を持って1人で外に出た。

101ビルにある中庭は、たくさんの人たちの憩いの場所。

1人でベンチに座りお弁当を食べ始めた。斜め向かいに座る仲のいいカップルに自分と真斗を重ね虚しくなる。

あんなに何度も体を重ねても、私達は目の前のカップルのようにデートする仲ではないのだから……

私は、昨日、コンビニに行くと言ってそのまま真斗から逃げ出した。

なぜそうしたのか自分でもわからない。

ただ、初めて一緒に過ごした時間が長すぎて錯覚をおこしかけてたからかもしれない。

愛されている
そんなありえない錯覚


お昼時間も終わり、午後からの診療時間も杉本さんからの鋭い視線を浴び、週末の疲労もありいつも以上に疲れた。


帰りの更衣室

早く着替えを済ませ帰る準備をしていると、杉本さんが詰め寄る。

「…彼とどんな関係なのよ」

言葉を荒げ、後ろに突き飛ばされるとガタンとロッカーにぶつかりよろける体を揺する彼女。