報われない恋だと知りながら、振り向いてもらえない寂しさに胸が痛む。
「泣くな…どこか痛かったか?」
優しい声の主が私を包む。
「……うんん」
「じゃあ、なぜ泣いている」
あなたの心が私の物にならないからなんて言えない。
「……まつ毛が眼の中に入ってたの」
「………」
無言の眼力に視線を逸らし、ベッドから起き上がる。
が、その場で崩れ落ちてしまう。
足腰に力が入らないほど私の体を容赦なく抱いた男が、私を抱き上げ自分に引き寄せる。
「どこへ行くつもりだ⁈」
「帰る…」
だってあなたの恋人が来るかもしれないところにいつまでもいれない。
「……帰すわけないだろう」
そう言った男は、目覚めたばかりの体で私を再び快楽へ落としていく。
何度もキスをせがみ、溢れそうな言葉を塞いでもらう。
(好き…愛してる……私だけを愛して。あなたの心を私に頂戴)
溢れる想いは頬を伝い涙に変わる。
気づかれないように、全ては感じてる体のせいにする。
「……気持ちいいの。もっと、もっとめちゃくちゃに抱いて……」
「……あぁ、抱いてやる。だから……忘れろ。他の男なんかで紛らわせるのは許さない」



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