繋いだ手によって玄関の中に導かれると
ドアがゆっくりと閉まっていく。
私は閉まるドアと真斗を交互に見つめ、男の手がガチャと鍵を閉めたのを最後に男の腕の中に捕らわれ壁に追い詰められる。
繋いだ手はそのままで私の背と男の片手が壁につき逃げ道を塞げば、甘い囁きが耳に落ちていく。
「俺だけを見ろ」
なんとも言えない独占欲を露わにする男に胸がキュンとなるも一方でどこか冷めている私。
私にはあなただけ……
でも、あなたは……
溢れる想いをその唇で受け止めて。
塞ぐ唇はとても甘く、私の醜い心を溶かしていく。
何度も角度を変えて愛しい女に触れるような優しいキス。
まるで愛を確かめる恋人達のようで愛されていると錯覚してしまう。
そんな優しいキスなんていらない。
何も考えられなくなるようにもっと乱してほしい。
私は、焦れったいキスに自ら男の口内に舌を差し出し、激しくキスを求めた。
お互いに繋いでいた手が離れ、私が両手を真斗の首に絡めれば私の頭部と腰を固定してぎゅっと力を入れ抱き寄せる。
キスは深くなり、舌を絡める音と甘い吐息が漏れるだけ。
耳に響く淫らな音は、思考を奪っていった。



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