あなたに恋してる


「………行くぞ」

繋いでいた手を引っ張り歩き出す真斗。

「ど、どこに?」

「俺ん家」

「えっ…なんで⁈」

チッと舌打ちする真斗……

「わからないほどお子ちゃまなのか」

……
なんとなくこの展開からわかるけど…
でも…
あなたは彼女と結婚するんだよ。

そう思うのに欲張りになってしまった私はもっと一緒にいたくて、あなたと触れ合いたくて…もう、止まらない。

「……私の家、この上だよ」

「……」

コンフォルトの上を指す。
5階建の建物は2階から上はマンションになっていて、私の部屋は3階。
いつも飲んだ後は、エントランスまで送ってくれてるから知らない訳じゃない。

「聞こえなかったのか⁈俺の部屋だ…」

振り向きもせず言葉を放ったまま歩いていく。


初めて行く真斗の家にドキドキしながらも、私の心に疑問が残る。

なんで⁈
私の部屋はそこにあるのに…
わざわざ真斗のマンションまで行くの?

私が行っていいの⁈

繋いでいる手に力が入ってぎゅっと握りしめた。

ぎゅっと握り返してくれる真斗。

言葉なんていらない。
あなたが私を求めてくれるなら、このまま何も知らないふりをして…