あなたに恋してる


腰に真斗の腕の余韻を残したまま、いつものように真斗の隣りに座った。

可愛げのないことを言わなければ、腰に手を添えたまま寄り添ってくれたのかしら⁈

そんな馬鹿な考えを打ち消し、マスターに声をかけビールを頼む。

目の前に出されたビールを真斗のグラスにカチンと当ていつものように

「…お疲れ」

ぐびぐびと喉に流す。
自分でもびっくりするぐらい喉は渇いていたようであっという間にグラスは空になる。

その間、真斗はいつもと変わらずにゆっくりとビールを味わう。

そんな姿に私は苛立つ。

「マスター、おかわり」

「…美雨ちゃん、機嫌悪いね…」

そりゃ、機嫌悪くもなるわよ。
数分前の出来事にふれてもこない。
挙句に、いつもと変わらない態度。
週末のアレはなんだったの⁈

こっちはドキドキハラハラしてプチパニックをおこしていたのに…ちょっとは意識してよ。

あーイライラする。
出てきた2杯目も一気に空にした。

「…今日は、もう飲むな。マスター会計お願いします」

「なんでよ。飲みに来たんだから…」

「そんな飲み方じゃ冷静に話ができない」

苛立ちを見せる私に真斗自身も苛立ったようで低い声で威圧する。