1人で盛り上がり興奮状態のえみり……
でも、私の心はどこか冷めていく。


キスされて、大きな厚みのある手のひらと繋いだ手にときめいたけど…愛の言葉は真斗の口からでなかった。

だから変な期待はしない。

また、飲み友達に戻ればいいだけ…

なんて、自分で逃げ道を作る。

頭の中で自分を納得させても、心は複雑でもやもやしている。

あの行動は私を好きだからした事だと思いたいのに、3年もの間そんな素振りは見せなかった。
真斗の気まぐれだったんだ…と、理性と感情の狭間で揺れ動く。


「絶対、脈ありだって…」

「…何を根拠にそんなこと言えるの?」

鼻息を荒くして興奮が冷めないえみりがかわいく毒つく。

「もう…美雨のにぶちん…」


頬を膨らませて怒られても…

「どこが⁈」

「キスしたんでしょう⁈…それも濃厚なキス。それに向こうから手を繋いできたんだよね⁈…とどめに影キッス……美雨のこと好きじゃなかったらそこまでしないよ。それに…手を繋いで帰ってきた時…………」

「な、なに?」

「うふふ……あははは…」

お腹を抱えて笑いだしたえみり。

「なに?どうしたの⁈」

「ふふふ…あんな顔して帰って来るんだから……あははは…」

あんな顔ってどんな顔⁇

笑いが止まらないえみりは、気になる言葉だけを残して帰っていってしまった。

えみりが言うように真斗が私を好きでいてくれたらどんなに嬉しいか…

あなたに会えばこの不安定な心は解決するかしら⁈


キスした時の唇の感触、繋いだ手の感触が今もまだ生々しく残っている。

岩場での熱烈なキスが…
繋いだ手が……
私をこんなにも惑わせているなんて……


あなたの背に愛してるとつぶやいた届かない思いがあることにも……
あなたの愛がほしいと思っている私がいることにも…

ねぇ、あなたは気づいてる⁈

……気づいてよ、真斗。