キスされた意味もわからずに上気した頬、乱れた呼吸が生々しくてクラクラするし、意識が朦朧とするせいで真斗の肩に頭を預けて寄りかかってしまう私。
そんな私の呼吸が整うまで頭と背中を撫でてくれる真斗。
ねぇ、どうしてキスしたの⁇
真斗の答えが怖くて意気地のない私は心の奥底に言葉をしまって体を起こした。
「大丈夫か⁈歩けるか?」
私の顔を覗き込んだまま、男が口角を上げて微笑む。
私の大好きな笑顔に頬がまた熱くなっていた。
「…誰のせいよ」
気づかれたくなくて素直になれない私は文句を言って立ち上がる。
「俺だな」
なんてらしくないことを言う真斗に私の頬は更に熱を持つ。
その頬に触れる真斗の手のひらが冷たく感じるほど、目の前の男にのぼせているのだろう。
「その顔のままじゃ、まだ戻れないな」
甘さを含んだ色っぽい声が会えなかった寂しさを壊していく。
もうそろそろ戻らないといけないと思うのに、このまま2人でいたいと思うのは欲張りですか?
「まだ…だめ」
せつなく頬に触れてる真斗の手に自分の手を添えた。
クスッと鼻先で笑う真斗。
添えた手を反対の手が掴み、初めて繋ぐ手のひら。



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