「…………」
「………………」
しばらくの沈黙。
「元気にしてた?」
「あぁ」
「美雨は?」
「うん…」
真斗に会えなくて寂しかった。
心は悲鳴をあげているのに言えない私。
「……」
「……」
ジッパーを下ろしてパーカーを脱ぐと私の肩にかけてくれる真斗。
「そんな格好でいられると目障りだ。これでも着て隠せ」
優しさをみせてくれたと喜んだのも束の間で、久々の冷たい言葉が胸に突き刺さる。
悲しくて涙が溢れてくるけど…真斗の前では泣いたりしない。
突然、お兄ちゃん達がはしゃぎだした。
「おめでとう…」
「やったな」
「いつ、結婚だ⁈」
そんな掛け声の中心にいる人物は、悠ちゃんと彼女さん。
照れている悠ちゃんと彼女さんが微笑ましい。
いいな…好きな人と結婚できておめでとう。
羨ましくて自然と溢れていた涙…
「泣くほどなら見なければいい」
真斗に手を掴まれた体は引っ張られて立ち上がるとその場を離れるように歩みを進め人気のない岩場に来てしまった。
「ねぇ、痛いから離して」
ぐっと握られた手首がジンジンして痛い。
「……」
「泣いてたくせに…そんなに好きなら忘れさせてやる」



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