あなたに恋してる


男の前だと豹変する…わかりやすい人。

「これ伝票です」

「チェックしますね」

杉本さんは、甘ったるい声で伝票を受け取ると薬品と個数と確認しだした。

田近さんは、杉本さんに気づかれないように口先だけ動かして(大丈夫⁇)と聞いてくる。

私は、少し微笑んで首を縦にふると(頑張れよ)と応援してくれた。

「確認終わりましたよ…田近さん」

チェックし終えたと微笑んで田近さんに伝票を返し、受領書を剥がしている田近さんに至近距離で話かけ始めた彼女。

「最近、暑くなってきましたね。配達大変じゃないですか?」

「車の中は、エアコンで涼しいんですけど…日差しが痛いですね。建物内でお仕事されている杉本さんが羨ましいですよ」

「そうでもないですよ…私、前園さん彼女の指導係なので早く一人前になって欲しいから怒ってばかり…だから建物内の涼しさを感じないんです…」

「そうなんですか⁈それは嫌な役割をされて大変ですね…」

「わかってくれて嬉しいです。前園さんもきつく言ってしまってごめんなさないね」

表情は申し訳なさそうにしているのに…
瞳は……

「私がいたらないせいでご迷惑おかけしてすみません。これからもご指導お願いします」