「デレっとしてるなよ」
イタッ…
真斗に頬をつねられる。
「デレってしてない」
「そうかよ」
ムスッと顔を背けてしまう真斗。
それを見てなぜか悠ちゃんはニコニコしている。
でも私は、真斗に背をむけられると胸が痛い。
意地悪くても、言い合いしていても怒っていても…真斗の顔を見ていたい。
悲しくてシュンとしてしまう。
優しい悠ちゃんは、なぜか頭を撫でてくれる。
真斗と違う手…
悠ちゃんのことは大好きだけど…
私のほしい手は…右側にいる真斗の手。
…………………………………………。
「…悠、お前は彼女持ちのくせに誰にでも優しくするな」
そう言って、私の頭の上から悠ちゃんの手を振り払う。
「美雨は特別だよ」
「……紛らわしい言い方はよせ」
今日は、いつにも増して悠ちゃんにつっかかる真斗。
悠ちゃんは悠ちゃんで楽しんでるように見えるのは気のせい⁈
特別って言葉に反応して目くじらをたてる真斗とニコニコしている悠ちゃんの間に挟まれて、私はどうすることもできずオロオロと交互に2人を見ているだけ……
すると、スッと立ち上がり胸ポケットから財布を取り出した真斗。



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