「おはよ、あーちゃん。課題は終わった?」
「それが分かんないんですよ、先輩に聞こうと思って……」
大人数の学生が受講する講義には、
学生が数人アシスタントとして教室内に待機している。
講義資料の配付や提出物の回収などの雑用を任されるだけの講義から、
先生の補佐として講義内容に置いて行かれがちな学生の質問に答えていく講義まである。
困り顔の後輩に万谷は小さく苦笑した。
「もちろん教えるけど……少しだけだからね」
「そんなぁ!」
「アシスタントだからって甘やかしたりしないよ」
万谷がアシスタントとして在中しているこの講義は後者。
ひとつ下の学年の必修科目である演習のアシスタントをしていると、
後輩達と仲良くなる機会が増えた。
「よろず先輩、いつもそう言いながら最後まで付き合ってくれるんですよね?」

