「おはよー!」
「あ、おはよ」
「今日早いね、一限?」
電車は一時間に一本。
そこから吐き出される学生の一団に混ざりながら、
学部の違う友人と言葉を交わす。
緩急を付けながら吹き抜ける冷たい風に、
マフラーを口元まで持ち上げた。
「こんなに寒い日に一限なんて嫌だよね」
「まあ、もうすぐ試験だしそれまでの我慢だよ」
たわいもない話をしながら別れ、教室のドアを開ける。
パソコンがずらりと並ぶ教室の中では、
講義を受ける後輩達が既に何人か談笑していた。
その中の一人が万谷に気付き、手を大きく振る。
「よろず先輩、おはようございます!」