「やっと明日から春休みですね、先輩!」
「だね、長かったー…」
一週間の試験期間を終えて、放課後。
多学年共通の試験で一緒だった茜と二人で帰途についていた。
「茜の試験はどうだったの?」
「あっ、いやぁー…えへへ」
ぽりぽりと頬をかきながら苦笑する茜に、およその結果が予想できて小さくため息をついた。
「…復習なら協力するから、分かんなかったらメールしておいで」
「やった、よろず先輩大好きっ」
「現金だなぁ…ま、私もすきだよ。と、もうすぐ電車だ」
「あれっ、今日はすぐ帰っちゃうんですか?」
「ちょっと、ね」
今日の万谷には一刻も早く帰るという目標があった。
まだ聞けていない、ただブックマークをして毎日コメントへの返信を見ているだけの『あの』ボイスを聞くためだ。
「えー…じゃあ春休み、うちに泊まりに来てくださいね!約束!」
「はいはい」
拗ねたように約束をせがむ可愛い後輩に笑いながら頷くと、手を振って駅へと急いだ。

