あたしは、それを握り締めてトイレへ向かった。 自分の体操服を脱いで、五十嵐くんのジャージに袖を通すと、しつこくない柔軟剤の匂いが鼻をかすめる。 あたしが、風邪を引かないために貸してくれたジャージ。 それはあたしにとったら、すごく大きくて。 五十嵐くんのジャージって思っただけで、あたしの心臓は大きく脈を打ち始める。 「頑張ろ・・・!」 袖をまくりあげて気合いを入れてから、あたしは体育館へと急いだ。