「ねぇ、あゆちゃん・・・」 「どうかした?」 「やっぱり、五十嵐くんってファン多いし、ハードル高いよね」 男子の試合を見たまま、耳だけあたしに傾けるあゆちゃんに、小さめな声で告げる。 いくら、五十嵐くんがあたしに笑ってくれたって、所詮、ただのクラスメイトにしかすぎないんだから。 第一、名前すら覚えてもらっているかもわからない。 「そんなこと考えてる暇あったら、試合見たほうがいいんじゃない?」