ピンポン玉が入りそうな口の開き具合を見つめて、再び笑みがこぼれる。
さっきから、ころころ表情が変わっておもしろいなぁ・・・。
「なら、上履き隠されることもないってことだよな?」
「うん!」
「じゃぁ、なに、言われた? ・・・って、やばっ!もう本鈴なるよな? 里緒菜ちゃん、携帯出して!」
「・・・携帯?」
「そっ、携帯! 早く!」
何のためかよく分かんないけど、拓人くんが自分のせいで授業遅れることだけは避けたいから、ブレザーのポケットから素早く携帯を取り出し、それを拓人くん差し出した。
受け取ると、まるで自分の携帯のように慣れた手つきで、あたしの携帯をいじり始める拓人くん。


