「飛鳥、あのね」
私、本当は飛鳥には言わないつもりでいたことがあった。
けど、その時はまだこの気持ちに気づいてなくて。
「私さ、お母さん死んでるの。」
それが、ヤンキーのせいだってこと。
それが理由で嫌いだってこと。
言わなくちゃだもん。
「そのこと自体は遠回しに言ってたと思うけど、あのね。お母さんが死んだのって、
ヤンキーに殺されたからなんだよ」
私がそういうと、飛鳥は目を見開かせた。けどそれと同時に、やっぱりそういう理由があったんだな、と視線を落とした。
「だから嫌いだったし、これからも好きになるつもりもない。
だけど、飛鳥たち、輝夜は好き。
それは、信じてほしい。」
「…お前は、本当にいいのか…?」
「信じてないでしょ?
…大切なもの、奪われちゃったけど、奪ったのはみんなじゃないもん。だから、大丈夫」
少し、お母さんのことを思い出した。
一粒、まだ一粒と涙が落ちる。
それに気付いた飛鳥は、指でそっと私の目を撫でると、そのまま私を引き寄せて抱き締めた。