「あぁ、会計か。」
飛鳥は、バンッとテーブルに一万円という名の諭吉さんを叩きつけると、私の手をさらに強く握った。
「お前に、野蛮とかクズ野郎とか言われても別にどーってことねぇけど。
七彩泣かせようとしたこと、許さねぇ。
次やったら、
ぶっ殺すからな」
その時の飛鳥の顔は、怖かった。
とにかく、怖かった。
けどなんでだろう。
その中に、優しさも見えた気がした。
不器用な、飛鳥が、必死に私を守ってくれたって勘違いしちゃダメかな?
もし飛鳥が、私のために、ここまできて。
この手をひいてくれてるのなら……
あぁ、どうしよう。
心臓が、すごくうるさいよ。
飛鳥に引っ張られて店を出る中、
「ありがとう、飛鳥……」
その手の温もりが移ったかのように、
胸が温かくなった。