【飛鳥side】
「……ただいま。」
玄関の音と共に、七彩の声が聞こえた。
アイツ、今日帰ってくるの遅すぎじゃね?
昼休みも、結局なんで呼ばれたか、平太も知らないって言ってたし。
それに、
「おーい、七彩ー」
声に、元気がなさすぎるから、だから。
「なに?飛鳥……」
少しして、ガチャッと俺の部屋のドアが開いて顔を出す七彩の。
「俺の部屋でちょっと話さないか?」
……話くらい、聞いてやろう。
「……なんでよ…。まぁいいけど。」
そう言って渋々俺の部屋に入る七彩は、セーラー服のよく似合う、そんな奴で。
こうしてスルッと入ってくるってことは、
俺のことを、なんとも思ってないんだろうってこと。
別にいいんだけどな。
俺も、七彩のことはそういう対象として見ていない。
逆に好きになられても困るっていうか。
そもそも、アイツ、好きなやついるのか?
って、俺。
なんで七彩の恋愛に、ついて考えてんだ?