「挨拶してるんだ」
「え?」
私の頭の上にははてなが浮かんでたらしい。
平太が説明をしてくれた。、
「お世話になりました、って、
ありがとうございました、って。
警察に、挨拶する。
それが、輝夜の決まりなんだ。」
「そう……なんだ。」
衝撃だった。
意外だった。
今まで、輝夜の色んなところを見てきたけど。
心のどこかで、
どうせ、暴走族なんだ。
って、壁を作っていた気がしていた。
けど、今、それが音をたてて壊れたんだ。
なかには涙ぐんでる人もいる。
そこにいる赤髪のトサカみたいな人だって、
金髪の坊主みたいな人だって。
見た目がそんななのに、泣いている。
「…3年以上輝夜にいた人が辞める時、こうやって警察にくるんだ。
今回は、弘樹だな」
3年間、暴走とかでお世話になった警察に、こうして頭を下げに来る。
「…思ったより、いいところだね輝夜は。」
「最初の何文字かは余計だぞ、七彩。」
ほんとうに、ほんとうに、ほんの少し、
輝夜が、
輝いて見えたんだ。
この、真っ暗な夜に。