【完】暴走族くんと、同居はじめました。







飛鳥に続いて倉庫に入る。



さっき飛鳥に挨拶した人たちは、飛鳥についていく私を見て目を見開いてたけど。




けどそれは、誰もが同じ感じだった。



なかには、『一応千尋さんに報告しようぜ』とかいう声も聞こえた。


え?私、ここいて平気なの?






「ねえ飛鳥。なんかさっきからみんなの目線が痛いんだけど…」



私は前を歩く飛鳥に声をかける。






「そらそーだろうな。
ここ、女基本こないし。」




…それだけでこんなに見られるもんなの?




「…俺が自分から連れてきたのはお前が初だからじゃね?」




飛鳥はそう言って少し歩く速度を緩めると、私の隣を歩き出した。





「…なに、口説いてんの?」




そんな、お前が初、なんて。

すっごい女の子が好きそうな台詞。




「はぁ!?お前口説くわけ…」



「冗談に決まってるでしょ、」



「お前吊るすぞ」



「やーん、ヤンキーこわーい」




ちょっとふざけて高い声を出してみると、飛鳥は呆れたようにため息をついた。





そして、飛鳥はまた少し速度をあげると、また私の一歩前を歩き出した。







「時間ないから急ぐぞ」




「あ、逃げた」





……私はそんな飛鳥の背中を少し早足で追いかけた。