「…では、これで。」
よし、なんのどこにいてもおかしくない『田中花子』という名前。
これでこんな奴らに知られることはない…!!
「へぇ~、学校に『田中花子』なんて子いたっけ?」
優男は少しニコッと隣のヤンキーに微笑む。
「いねぇよ」
と、何故か考える時間もなく即答。
「俺はこの学校の奴、全員わかるけど…、
お前知らねぇ…」
そしてそのまま私に近づいてくる。
「えっ?いや、あの…」
そっと後ずさりをするけど、背中には壁。
私の背中にトンと壁が当たるのと、私の顔の横にドンと、奴の手が置かれるのは、
同時だった。


