また、君に会いたい

帰り道――…


「今日は飲んだねー!」


あの後、もうあの話に触れる事はなく、お互い自分の事や仕事の話をしていた。


「家、どの辺り?遅いから送るよ」


少しふらふらしている野中さんの腕を掴みながら言った。


「大丈夫だよー!今日はありがとね!それじゃぁ……」


野中さんは俺の掴んでいる手を外し


「バイバイ」


と、駅と反対の方向に歩き出した。


「待って!!」


俺は、歩き出した野中さんの腕を掴み


「ねぇ、また会える?」

「うーん、どうだろ?私、家から会社行くのに本当はこの駅使わないから。それにもう、彼の事は忘れるから……。だから、この桜の木には来ないつもり」


そう言う野中さんの顔には決意がみえた。


「そっか……」


でも、ここで諦めたら、もう彼女に会えなくなる。

だから俺は


「ねぇ、その彼を忘れるの、俺に手伝わせて……」


自分の、今の気持ちを伝える。