一時限目。

古典。

芥川龍之介の作品だった。

「平潟、なんで六宮姫君は成仏できなかったと思う?」

「はい、きっと姫君はなにもせず、生きているという実感もなかったので、死も生きるも
できなかったからだと思います」

「うん、そう考えるのもいいな」

黒板の文字をノートに写す。

自動的だ。

ただ書き写すだけなら機械にだってできる。

だけど俺は機械じゃない。

機械じゃないので考える。

適当に教科書をめくって話を読んでみた。