…ここでも妻。どうやら、本当に妻になってしまったらしい。

「僕たちはそれぞれちょっと事情があって妻を探してたんだ。そこに君が現れた。僕たちとしては願ってもないチャンスでね。咲貴ちゃんには悪いけど僕たちの妻になってもらったんだ」

「ちょっと待ってください。ここは日本ですよ。一妻多夫は認められていません。ていうか、一婦多妻はあるけど一妻多夫はありませんよ！？」

「そこは優秀な弁護士の柊一朗君がいるから」

男性の目が眼鏡をかけた男性に移る。この人が柊一朗さん。

「だからって…」

「柊一朗君はちょっと特殊な弁護士だからね。そのぐらい余裕だよ」

法律は！？司法を司る裁判所で裁判する弁護士が思いっきり、悪いことやってる！！！

「妻になるにあたって契約があってね。その諸注意をしておかないと。一つ目は僕たちが君に贈る物は拒んではいけない」

「二つ目は夫を平等に愛すること」

また違う声が混ざった。いかにも今風の髪型に左目に涙ぼくろ、両耳にはピアス。チャラい感じの人だった。

「これが契約するにあたって気を付けないといけないこと。これさえ、守れば大丈夫だよ」

そう言って爽やかに笑った。