翌朝、まだ綾斗さんにしっかりと抱き込まれたまま、目が覚めた。ドレスを脱がすに寝たのでシワになっていないかとても心配だ。こんなに綺麗なドレスにシワをつけるなんてセレスさんに申し訳ない。

「会社勤めなのに綺麗に筋肉がついてるなぁ」

服の上からでも分かる。

「う…ん。もう、出れないよ」

身体を捩っても一向に離れる気配がない。起こそうかと思ったけど寝息を立てて寝ているので憚られる。でも起こさないとわたしが困るので仕方がなく、揺すって起こす。何度か呻いた後、目を覚ました。

「おはようございます」

「おはよう」

「早速ですが離してください。借り物の服なのでシワがつくとセレスさんに申し訳ないです」

「…分かった」

「綾斗さんもスーツでそのまま、寝ちゃったからシワになりますよ。脱いでは?」

「そうだな」

またシニカルに笑った。わたし、自分で地雷踏んじゃった?綾斗さんはわたしの目の前で上着を脱ぎ始めた。またあの時のように同じ光景が繰り広げられようとしている!!

「誰がここで脱げって言いました!ご自分の部屋があるでしょ。そこで着替えてきてください!!」

「だから、夫が妻の前で着替えて何が悪い…」

ブツブツ言っている綾斗さんを追い出してはぁっとため息をつく。なんか朝から疲れた。

「わたしも脱ご」

いつもと違うわたしを少しだけ眺めた後、ドレスを脱いだ。