元の色に戻った唇に安心する。全く、なんて人だ。

「もう寝ます。寝るので出ていってください」

「夫と妻が別々で寝るのか?仲が悪くなる遠因になるぞ」

そんなこと、知ったことじゃないっ。男性と一緒に寝るなんて考えられない!

「出ていかないと…きゃっ」

抱き込まれてそのまま、ベッドに倒れた。

「騒いでないで寝ろ。寝るんだろ?」

「だから、綾斗さんと一緒に寝るなんて…」

最後まで言わせてもらえなかった。言葉による説得を諦めて質の悪い説得に切り替わった。

「それ以上、口答えするとずっとキスするぞ」

「横暴です!」

「なら、おとなしくしろ」

もう何を言っても無駄のようで目を閉じて眠り始めた。以前として抱き込まれたままのわたしはなすすべなく仕方がないので綾斗さんの寝顔を一人見つめながら寝たのだった。