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「あの、私、一年三組の柊凉和と言います! どうか助けて下さい!」
「うっわぁ……。元気だねぇ、君」

叫んだ凉和に菊二は目を丸くし、紫子は静かに紅茶を飲んでいた。

「そこに居られても邪魔だから座って頂戴」
「はっ、はい!」
「こら、紫子ちゃん。もっと優しく言わなきゃ」

少々刺が含まれる言い方をした紫子であったが、紫子自身は至って普通の言い方をしたつもりだったのだ。紫子の人付き合いがいかに下手なのかが良く分かる。

「ごめんねぇ。うちの子、キツイ言い方するけど優しい子だからさ」
「いえ! 全然平気です!」
「そっか、ありがとうね。……それで何のご用意かな?」

菊二は本題に入り、凉和を見つめる。見つめられた凉和は、今まで真っ直ぐ菊二の方を向いていた顔を俯かせ、頭を垂れる姿になった。

「……私のお姉ちゃんを、助けて欲しいんです」