「すみません。昨日、F1遅くまで見ちゃったんですよ。少しボーっとしちゃって。」
 今までした事のないようなぎこちない、けれども精一杯の笑顔で彼女に答えた。すると、彼女の目が急にキラキラし出した。
 「F1好きなんですか。私も大好きなんです。って言うか、車全般好きなんです。周りからは女の子のくせになんて言われちゃうんですけどね。」
 彼女の見かけはどちらかと言うとおとなしい感じだった。そんな彼女が生き生きとF1の話を始めた事にすごく驚いていた。そして、今までのように見ているだけでは絶対にわからなかった一面、その一面が見られた事に僕は少し興奮していた。
 僕がそう思っている間も彼女は次から次に昨日のレースの話を続けてきた。その話を軽いあいづちを打ちながら淡々と聞いていると、彼女から急に質問を投げかけられた。