「300万も出してくれるのか。」
 満面の笑みで僕を見ている。
 「君は車も好きなようだし、昨日の今日で300万も出す準備をするとは、なかなかやり手のようだね。」
 「気に入った。今回は特別にその300万でボンネットに大きく社名を載せてやる。本当なら、何千万もする所にね。」
 何千万の金額が300万。普通だったらこんなにまけてもらったら、大喜びする所だろう。でも、僕は自分の今の発言に激しく後悔していた。今まであの声が色々助けてくれたのは事実だったけど、300万なんて大金が用意できるとは到底思えなかった。
 精一杯の笑顔で社長に挨拶をして応接室を出た。しかし、応接室から離れて行くのと反比例してその笑顔は消えていき、比例して沈んだ表情が現れた。

 「どうしよう・・・。」