―いつの事だっただろうか
「願ってはいけなかったのだ!貴様は!」
激しい剣戟の音。
それに混じって聞こえる男の憎しみの怒号。
「貴様には何もなかった!故に憧れた!他人の願いに!叶う筈も無い理想に!」
「貴様がっ!願わなければっ!オレはッ!」
「所詮、貴様の理想は借り物の理想でしかない!」
「偽物の理想なのだ!」
響く男の怒号と剣戟の音。
「……ない。」
「……なんかじゃ…ない!」
「偽物…なんかじゃ…ない!」
かつての自分と今の自分
勝てる筈だった。
負ける筈は無かった。
諦めた自分と
信じ続ける自分。
終わりを告げた剣戟。
勝ったのは…
かつての自分。
負けたのは今の自分。
確固たる信念を持っていない仮染めの理想は…
自分の方だったのかも知れない…