昔話をしよう。
かつて起きた大災害。
それは多くの人に絶望をもたらした。
死が蔓延する…絶望に満ちた光景。
その少年も例外無く死の運命にのまれる、
筈だった。
「良かった…まだ…」
それは…
絶望に満ちた光景の中で
少年に差し込んだ一筋の光…
だったのかも知れない。
男だった。
なんの取り柄もない様に見える平凡な男。
男は死の運命から少年を救い上げた
少年は男に救われた。
男はこう言った
「僕はね、正義の味方に…なりたかったんだ」
「正義の味方に。僕はなれなかったんだ。」
何処か寂しそうな横顔。
けれども、確かな後悔の言葉。
「なりたかった。」
少年は告げる。
「なら、俺がなるよ。ジーさんの叶えられなかった夢は…俺が叶える。」
少年の確かな誓いの言葉。
男はその誓いを胸に抱いて…笑って眠りについた。
覚めることのない眠りに…
それから10年。
少年は正義の味方に憧れ続けた。
魔術師。
男は少年に魔術を託していた。
その託された魔術と、少年に奇跡を授けた[モノ]
そして、少年の誓い。
それを支えに戦い抜いた少年の英雄譚は
他の誰かが紡いでくれるだろう…
この物語は
少年が絶望の果てに見出した希望の話…