「公園って…広いね。」
「…先輩？」
「私、公園って来たことなくて。」
「そう、なんですか？じゃあ、僕とが1番最初っていうことですか？」
「そうだよ。」
「嬉しいです！」

私たちはベンチに座る。
ふ、と。
お父さんに遊んでもらって楽しそうな子たちが目に入る。
今日は土曜日だからね。
…心のどこかで、この子たちに嫉妬してしまう自分がいるのがわかる。

そういえば私って、
いつからパパいないんだっけ？

「何処かに消えたわ…」

昔1度、ママに聞いたら
泣きそうな顔でこう返された。
…聞いちゃいけないことなんだなって思った。

「せっかく来たんだから、遊びましょうよ。僕、売店で何か買ってきますね。」
「うん。ありがとう。」

暖かい陽だまり。
気持ちよくて、思わずウトウトしてしまう。

っ…


「あんたを見てると思い出すのよ…あいつを。結局、全部私よりも上を行って、死んじゃって、悲劇のヒロイン気取り。」
「ママ？…ママ？ごめんね。もう変なこと言わないから！許して…？」
「…っ」

…。



「理央さん？」
「…っ」

あれ。私ベンチで寝ちゃったのかな。

「ごめんね。日の光があまりに心地よくて。」
「…どんな夢、見ていたんですか？かなりうなされてました。」
「あ、うん…何でもない。」
「許して、許してって。言ってました。」
「…うん。ママと、小さい頃の私が出てきて、なぜだか分からないけど怒られてて…」

でも、ママは最後に何か言おうとしてた…


「ごめんね。
せっかくサボったのにさっきから。遊ぼ！まだ時間あるでしょ？」
「大丈夫、ですか？」
「大丈夫だから言ってるの。
ねぇね、何買ってきてくれたの？」
「えっと…バドミントンとフリスビーです。」
「わぁ。フリスビーって、投げると元に戻ってくるんだよね？やってみたい！」

気にせず、遊ぼう。
楽しい時間は、きっともうやって来ない。

「そうです。やってみますか？」
「うん！」
「じゃあ、こっち来てください！
…僕が見本見せますね。こうやって水平に持って、前から…こう！」
「すごい！ナイスキャッチ！」