学校から帰る。
この時間が一番嫌い。
1人になる時間へのカウントダウンだから。

門を出てしばらくしたら、
携帯を開く。

…なにこれ。
新着メッセージが18件？
誰だろ。しょうもないことだったらただじゃおかない。

…和明。
私が高校生って知ってるよね？

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明日デートしようよ〜
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あとさ、勉強進んでる〜？
分からないとこあったら教えるよ。
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おーい
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返事してよー
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…。


だから、私高校生だって。
たまにサボるとはいえ、授業があるから。
しかもデートに誘っときながら、勉強進んでるか聞く？普通。
それに、あんたに教えてもらうことなんてないよ。

…やっぱり別れよう。
どうせなら、盛大な別れ方してやろうかな。
プライドがズッタズタになるやつ。
あーイライラする。
私は、靴をわざと鳴らしながらズカズカ歩く。

…あ。

前を平野くんが歩いていることに気づき、急停止する。

そんな私にも気付かず、彼はフラフラと歩く。

全然大丈夫じゃないじゃん。
なんであそこまでなってるのに先生たちは何もしないの？
大人はなんでも見て見ぬふり。
…でも私、人のこと言えないんだった。
本当の見て見ぬふりは、私だ。
でも私のせいだって、認めたくない。他でもない私が彼を傷つけているなんて、思いたくない。
会えないよ、私。平野くんに。

曲がり角を曲がって消えていく平野くんを、
馬鹿みたいに ただただ見送ることしかできなかった。

そして、無機質な気持ちでメールを打つ。

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熊田理央だよー。
登録よろしく。
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何にも知らないふりをする、ずるい私。

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ご連絡ありがとうございます！
明日、10時に美浜橋でもいいですか？
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強がる、平野くん。

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怪我、大丈夫？無理しないで。
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会いたくないのは自分なのに。
向こうから中止してくれることをまだ待ってる、ずるい私。
いざとなると、
私の汚い心を見透かされるような気がして、どうしても、自分から止めようと言いだせない。


どれだけ待っても期待している返事は来ない。


そして私は、そのまま意識を手放した。