『がく。いかないでぇ!』
岳の彼女の声が響く。

『岳を連れてかないでぇ!!がくー!!』

何も出来ない。これ以上、前には行けない。

私はただの友達なんだ。

体が震えるのを、押さえられなかった。
大きく揺れる肩を、誰かがぎゅっと支えている。
『…私もそっちへ連れていって』

と、声に出そうとした瞬間
「お前絶対許さねぇからな!何だったんだよ!
今までの時間は何だったんだよ!!!」

意外にも大声をあげた真人の姿に
私の涙は勢いを増した。

『がくー…』

全部出てしまえ。全部流れてしまえばいい。