一生分の愛を君へ

お通夜で私は
岳の顔を見ないで帰った。
見ればおかしくなることくらい、自分でも想像するのは容易だ。

助手席で俯くしか出来ない私は
とまらない涙を無視して外を見つめた。

地元で行われたお通夜。

帰り道はすべて馴染みの通りで、どこを通っても岳との想い出が蘇ることに落胆した。
無言の車内では
岳も真人も私も大好きなアーティストの曲が流れる。
ふと夏のフェスを思い出し、真人の方をチラリと見た。
涙を堪えるために唇を噛む真人。

うっすらと血が滲んでいた。


「また明日迎えに来る。」
確かそう言っていたと思う。
明日は本当に、岳の体がなくなってしまう。