一生分の愛を君へ

それでもよかった。
意味もなく手を繋いで
それによってバカ笑いできる。

彼女には味わえないことなんだからと、誇らしくさえなっていた。
楽しいんだからそれでいい。

それでいいのに
やっぱり聞いてしまう。

『最近どうなの?例の年下。』

「あぁ。わかんね。そんな会わないし。連絡もしない。」

『ふーん。どっちが?』

「俺が。俺イケメンだからさ。」

『…ふうん。』

「てか普通に!何で付き合ってんのか分かんないし。」

『贅沢言うな。』

「舞みたいに楽だったらいいのにね。あいつ旅行行くってだけで泣くんだぜ?」
『それだけ好きなんでしょ?』

私は岳の手を離した。

岳は追いかけるように私の手を掴まえて
「今この時間が楽しければ、それでいいじゃん。」

と、ニカッと笑う。
とんでもないことだ。私の気持ちを知っていて。

むっ!
と思った。けど、好きだと思った。

分厚いグローブ越しの左手から体温を感じる。

だけど岳の右手には彼女の存在があって
私は私で
木村君の顔が浮かんでしまった。

だけど悩むひまもなく、リフトが頂上についたので
私たちは手を離して滑ることにした。