一生分の愛を君へ

「早く行こう?」

と、岳が言う。

私は久しぶりに岳と2人になった。
サクサクと雪を踏む音が聞こえるから
私は喋らなくても大丈夫で、ただただスノボーのことを考えてる振りをする。

早速リフトに乗ると、岳の手の甲が私の指に触れた。
「おい!今ドキッとしたんだけど!」

『発情するなよ。』

「だってさ、お前手のひら出してみ?」

私が素直に手のひらを出すと岳はまた、ソッと指に触れて見せた。

「…どう?」

『どうって。どうって何?』

謎めいたその行動に思わず吹き出した。

「だからさ、手のひらが当たるより手の甲の方がドキッとしない?!」

『…確かに!』

そのまま何度も、手のひらと手の甲を触れさせては笑い合った。

『下らなすぎるでしょ!つかなんでグローブしてないの?』

2人揃ってグローブをし忘れているのがまた嬉しくなる。

何でも嬉しかった。どんなことも。
真っ白い雪に叫びたいくらい。はらはらと舞う粉雪一つ一つに、嬉しいと伝えたいくらい。