一生分の愛を君へ

木村君が来るまでの2人の時間。

香澄はしょっちゅう言っていた。

『舞がいてくれて助かる。』
香澄は浮気をしていた。

昔から好きだった忘れられない人と。

『別れりゃいいのに。』
何度もそう言ったけど

香澄はタバコの煙を吐きながら決まってこう答える。
『もう20歳から5年も付き合ってんだもん。何か無理。別れるの。』

分からなかった。
ただの情けのように聞こえたし。

つまらない恋愛だと思っていたのに。
『あぁ。まぁ今さら無理か。』

かっこつけて分かったふりしてタバコに火をつける。
ヒュオッと冷たい風が吹き、冬になった。