走った先に、茶色の軽自動車が見えた。
緊張と不安と、どうしようもない程の喜びで身体中が溢れている。
彼女がいるそこへ向かいながら思い出す。
海で初めて見た、舞の後ろ姿。
会いたくなかったと泣いた舞の横顔。
海風の間接照明の中でまどろむ困ったような表情。
すべてが俺をドキドキさせた。
俺はさっと左手をあげる。
海は変わらず波をうつ。
ざざん ざざん ざざん
俺の隣を車が通りすぎる。
風が吹く。
雲が流れる。
花が揺れる。
砂が舞う。
真っ赤な太陽の光を浴び
軽自動車から大好きな女性が降りてきて
俺を見ていた。
fin.


