一生分の愛を君へ

電話の向こうの相手は
『うっ…』と言葉をつまらせた。

女の子の声だ。
舞?舞なのか?
そうすぐに思い立つ俺は自惚れているだろうか。

心臓が早くなる。
「もしもーし?」

この投げ掛けに、拓郎が不思議そうな顔をした。

「…舞?」
うっという一声から、呼吸から、俺は舞しか浮かばなかった。
相手はしゃべらない。

「違った?」

『ちっ…違わない…』

舞だ。本当に。
俺はそっと左手で耳を塞ぎ人混みを少し離れた。

「今から会う?」

『…うん。』

「海風か、海にいて。家の前の。俺今学校にいんの。」

海にいたら、もう一度好きだと言おうと思った。

『早く…来てよね。』

「ふふっわかった。」

電話をゆっくりと切る。行こう。すぐに会いに行かないと。

「拓郎…」『想生!』
ガシッと肩を掴まれた。

『どこいくの!ねぇ帰るの!?』

美帆は息を切らしていた。ステージからここまで出番目前で走ってきたのだ。