一生分の愛を君へ

何だろうか。美帆は俺に話なんかない気がした。

ないのに何か言いたくて、どうしようもなくて呼び出している気がした。

『あの…えーっと…』

「…。」

『…んー』

「明日さ。」

美帆の顔は、ホッとしたように見える。すごく安心したように見える。

「頑張って。今日、かっこよかった。」

2人の間に、静かな空気が流れる。
俺は店内から漏れる雑音に耳を傾けた。

美帆はなにも喋らない。

「戻るよ。」

『諦めてほしい。』

「え?」

『その女の子のこと。諦めてほしい。』

夜の美帆を、店の明かりが照らしていた。

『想生は全然失恋してない。全然諦めてないよ。』

「そんな…」

『そう見える。』

諦めたくない。だけど、忘れなくてはいけないと思う。