一生分の愛を君へ

おいおい。
と思った。
おいおいおいおいおいおい。と思ったが、よくぞ。とも思った。

「翼?なに聞いてんの?どうたしたの?」

「お前うるせぇな。」
翼は俺を見ないで続ける。

「うちの想生ちゃんがね、気が気じゃないんですよ。」

あわわ。
こんなに強気な翼は何年ぶりだろう。
いや、いつも強気なんだけど。お節介はしない翼が、俺にお節介してくれているのが
すごくすごくじんときた。

男女2人はなにかを確認するように視線を合わせたが、真人は翼をしっかり見たまま黙っている。

しばらく沈黙が続き、俺がなにか言わないとと口を開いたのと同時に

「まぁいいや。舞さんに言っといて御宿またおいでよって。」

と、翼の声がピンとはりつめた空気を弛めた。

「ありがとう。」

真人が言い、翼は前を向き直す。

ビールを飲んでメニューを開いた。

あ、ピクルス食いたいかも。と言う翼の声がBGMのように流れる。