一生分の愛を君へ

「今日バイクなんすよね」
木場さんが俺を見て微笑む。
「お前バイク好きだなぁ。」
「こいつらの誘いが急すぎなんすよー。俺の誕生日なのに。」

拓郎と孝介が楽しそうに笑う。
「ベスパが親友だもんな。」

「恋人だろ。」

翼いつものように静かに笑う。分かっていた。

俺が何か考え事をしてること。何となく、美帆と距離を起きたいこと。
こいつらは気付いているだろう。

「あれ?あの人。」

その声に翼が首だけで振り向いた。
「こんばんはー」
誰だ?
誰に言ってんだ?大学にこんなやつ…

「あ…」

ヘラヘラと笑いながら、挨拶をするカウンターの男の左に、じっとこっちを見る
ずっと会いたかった人がいた。
合った目をそらせない。
そらしてはいけない気がした。

「何の知り合い?」

翼の声でハッと我に帰り、急いで目線をメニューに落とした。

「ちょっとした知り合い。嫌われてるけど。」

自分で言って、胸が痛む。ズキズキドキドキ音をたて、まるで心臓が耳についているみたいに
みんなの笑い声が遠くに聞こえた。

舞。
舞だ。